昭和20年5月。戦時下の演劇統制を受けながらも、禁止された芝居「国定忠治」の稽古をする沢村春花一座。
そして迎えた5月29日の横浜大空襲――芝居小屋は焼け落ち、座員の3人までが命を落とす。
焼け跡に集まった座員たちの前に、機銃掃射で重傷を負った少女が現れる。 「お芝居を観たい……生きたい、生きたい……」
上演をさせまいとする特高の刑事に春花は語りかける。 「今だからこそ歌がいる、芝居がいる、美しいものがいるんじゃないですか?」 沢村春花一座、最後の芝居が始まる。 「赤城の山も今宵かぎり……ああ、俺は明日からどっちへ行こう。 グラマンが東の空へ飛んでいかぁ。 俺には生涯、てめえらという、強えぇ味方があったのだ」 瓦礫だらけの舞台の上に「アベマリア」の曲が流れている。
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2020年、コロナ禍のために横浜夢座の公演も幕を開けることができませんでした。
戦争という嵐、空襲という業火、疫病と言う禍に翻弄される私たちですが、それでも夢は絶えることはないと信じています。
横浜大空襲への鎮魂の祈りと明日への願いを込めて、この動画をお届けします。